Recommended Gourmet VOL.11宮崎で京料理に舌鼓
洗練された料理を五感で味わう
贅沢なひとときと宮崎焼酎「京料理 宮川」

PROFILE

岩切あけみ MC・フードコーディネーター

岩切あけみ
MC・フードコーディネーター

宮崎県生まれ。フリーMC・日本スイーツ協会認定スイーツコンシェルジュ。
フードコーディネーター。
ブログ「岩切あけみのブログ」

宮崎県生まれ。
フリーMC・日本スイーツ協会認定
スイーツコンシェルジュ。フードコーディネーター。
ブログ「岩切あけみのブログ」

関西の老舗京料理店で12年修行を積んだ末
守り抜くもの・進化させるものを
独自で選択する料理人の技

 宮崎市橘通東3丁目。バス停でバスを待つ人々の横を通り過ぎると、すぐに目に掛かる位置に掲げられている「京料理 宮川」のシンプルな看板。自己主張するでもなく、ひっそりと佇むその看板が店主の「在り方」を示唆するような雰囲気を醸し出しています。
 「京料理」というとなぜかしら敷居が高いような、くすぐったいような…。そんな勝手な思い込みによるイメージを「季節を体感する料理」へと変えてくれた店舗。堅苦しさから解放された居心地の良さは、店主・宮川義浩さんの心まで和ませる季節の京料理と、奥様の柔らかでユーモアのある接客の賜物と言えそうです。
 個室でグループで楽しむもよし、カウンターで店主と語らうもよし。京料理に舌鼓をうちながら、宮崎焼酎を粋に傾ける至福の時間をお過ごしください。

夜の懐石は3コース
月替わりで京料理を堪能し
宮崎焼酎で心を解き放つ

 夜の懐石は、ご予算に合わせて4,000円・6,000円・8,000円(各々税別)の3コースが用意されています。今回は、とびっきり贅沢に8,000円コースをご紹介しましょう。
 毎月通ってくださるお客様も多く、月替わりでメニューを変えているという「京料理 宮川」。その日の仕入れ状況によってお料理の変化を楽しめます。

 この日の「先付け」は、温かな自然薯(じねんじょ)饅頭。自然薯特有のねっとりとした口当たりに、独特の香り。トロミを付けた出汁と一緒にいただくと、寒さで固くなった体のネジもいい具合にゆるんでいく感じ。お料理のスタートの一品目は「つかみ」ですよね。寒い季節の温かなお料理が「おもてなし」の心を現しているかのようです。
 そして「前菜」は、宮崎産の朝どれの生シラス・鴨ロース・聖護院(しょうごいん)カブラ。シラスを生でいただけるのは宮崎ならでは、と奥様。透明なガラスの器に、負けず劣らず透き通るようなシラス。また、鴨ロースに合わせた柑橘がさっぱりとした前菜に仕上げてくれています。京料理の器も楽しみの一つ。素材や季節に合わせた細やかな気配りにも注目していただきたいですね。

 寒鰆(かんざわら)・ヨコワ・天然のブリ・天然の鯛の昆布締め・オアリイカを盛り合わせた本日の「お造り」。
 この日届いたヨコワの解体をカウンターで見せていただきました。包丁を入れる際の店主・宮川さんの真剣な表情。真摯な姿勢が反映されたお造りです。
 「鰆(さわら)」といえば魚へんに春と書くくらいですから旬は春かと思いきや、身が美味しいのは冬のこの時期なのだそうです。身がしまって脂がのった「寒鰆」。口の中に広がる寒鰆の脂を楽しみながら、やはりここは焼酎をいただきたいですね。その他のお魚も新鮮そのもの。丁寧な仕事が生きるお造りです。

 続いてのお料理は「お吸い物」。白みそ仕立ての椀の中からは、焼き雲子(くもこ・タラの白子)や天然の車エビの真薯(しんじょ)が姿を現しています。お箸で持っても、そのプリプリ感が伝わってくる焼き雲子は、とってもクリーミィー。白みそとお出汁の絶妙なバランスが、そこへ合わせた食材を更に引き立ててくれます。
 京都の老舗店から仕入れるというお味噌。店主・宮川さん大絶賛のこだわりのお味噌です。無添加で作られており、10日間ほどしか日持ちがしないとか。何故、この店のお味噌にこだわるのか。その理由は、季節によって塩分などの配合を変えて調整しているという徹底した職人の味覚と技にあるそうです。どの味噌よりも「深み」があり、カツオ出汁に入れるだけでこの味が出るという自慢の一品。是非、一度味わっていただきたい絶品中の絶品です。

 「焼き物」は、マナガツオの味噌焼き・ヘレステーキ。ん? ヘレステーキ? 宮崎で「フィレ」や「ヒレ」と言っているお肉の部位を関西では「ヘレ」と言うそうです。
 一口でいただける柔らかなヘレステーキは自家製のタレで。焼酎のオツマミにもピッタリなマナガツオの味噌焼きは、風味を生かした火入れ具合にも注目。食感もご堪能いただけます。酢に付けて鮮やかな赤色に発色させた赤蕪(あかかぶ)が、お皿の上に彩りのアクセントを加えます。添えられたからすみも、まるで焼酎のお代わりを催促しているようです。

 「炊き合わせ」はブリ大根。想像していたものとは違う「ブリ大根」が登場しました。
 店主・宮川さんが遊び心で作ったというこちらの一品。この季節ならではの自然の恵みを最大限に生かし、京料理の奥深い繊細さと優雅さ、加えて新しい京感覚を目覚めさせたブリ大根。ブリはタレ焼きにし、大根はブリの骨を使って炊き上げ、別々に手を掛け最後に素材を合わせるという新技。真っ白な大きく開く洋皿のような器の演出で、「まるでフレンチみたい」とテンションが上がってしまいます。香ばしいタレをまとったブリと一緒にいただく柔らかな大根。そして口に含ませる出汁の上品さ。
 「京料理はいかに食材に手間暇を掛けるか、その手間を惜しまないか」、「お客様の反応を敏感に感じ取りながら、宮川独自の京料理を目指す」、「新しいことにもチャレンジしたい」という店主の想いがヒシヒシと伝わってきます。もちろん、お出汁まで残さずいただいたことは、書かずともご推察いただけると思いますが念のため。

 「強肴(しいざかな)」は、千葉県産の蒸しアワビ・一寸豆(いっすんまめ)。柔らかく炊いてあるアワビ。それでいて肉厚なのでしっかりとしたアワビの食感も残してあります。お酒のオツマミにも、ご飯のお供にも合う一皿です。
 〆に土鍋で炊き上げられたご飯と赤出し・香の物。この日は、鶏と蕪の炊き込みご飯。ご飯もその日によって変りますので、〆までしっかりとお腹の中にお納めくださいね。

 デザートには自慢の自家製「アイス最中」。中の餡子(あんこ)はお客様にも大好評で小豆から炊いて手作りしています。甘さを控えて、少し塩を効かせたの小豆にアイスの甘さが丁度ぴったりなんです。一緒に出されるお抹茶とともに、お料理の余韻に浸りながら食後の話にも花を咲かせてください。

 今回ご紹介した夜の懐石は「嵐山」(8,000円・以下全て税別)。この他にも、「清水」(4,000円)、「嵯峨野」(6,000円)の3コースをご用意。
 また、夜の懐石は『前日までに要予約』となっておりますので、お出かけの際は是非ご予約をお願い致します。お料理の内容は月替わり(仕入れによっては日替わりになる食材もございます)となっております。詳細は店舗までお問い合わせくださいませ。季節に合わせた京料理の数々をご賞味ください。

お昼に気軽に京料理
お得なランチタイムも見逃せない

 「京料理 宮川」は、お昼のランチタイムも営業しています。「市松弁当」(1,500円・以下全て税別)、「ミニ懐石」(2,000円)、「懐石 葵」(3,000円)の3コース。
 ご紹介するのは「ミニ懐石」です。胡麻豆腐の付き出し・お造り・お吸い物・焼き物・八寸・ご飯・止め椀・デザート(3種)・抹茶までを、気軽にお召し上がりいただけます。名前は「ミニ」でも見た目にも十分京料理を満喫できる内容です。女性同士でゆっくりとしたランチタイムを過ごされてはいかがでしょうか。

お料理に合わせた焼酎はこちら
雲海酒造株式会社「黒木挽」

 今回、お料理に合わせていただいた焼酎はこちら雲海酒造株式会社の「黒木挽」です。
「木挽」の中でもコレ、という方も多い宮崎焼酎。南九州産の厳選された芋(黄金千貫)を原料に、伝統の黒麹を使用し、宮崎・綾の本格焼酎蔵で熟練の蔵人達が丹精込めて造りあげた焼酎。芋の甘い香り、シャープな切れ味の本格芋焼酎です。お料理に合わせてロックで、また寒い季節はお湯割りでもどうぞ。

「京料理 宮川」宮川 義浩さん

今回ご協力いただいたお店はこちら

京料理 宮川

  • 住所:宮崎市橘通東3丁目2-4 サダヒロビル2F
  • TEL:0985-26-0001
  • 営業時間:昼/11:30〜15:00 (LO 14:00)
    夜/17:30〜23:30 (LO 21:00)
  • 毎週月曜日・月最後の日曜日

「京料理 宮川」

宮川 義浩さん

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